〈特集〉「ふるさと納税」でつながる思い

未来対談

鳥取県「大山ブランド会」

地域一丸となって、鳥取県大山圏域を盛り上げ、県内外へ大山の魅力を発信している「大山ブランド会」。行政、生産者、百貨店、それぞれの立場で地域の魅力、これまでの取り組み、そしてふるさとの未来について、お話しいただきました。

「大山ブランド会」参加エリア

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ふるさと納税で
行政・生産者・百貨店が
三位一体、地域活性化を目指す。

鳥取県といえば、砂丘をイメージする方も多いと思いますが、中国山地最高峰の大山も、豊かな恵みをもたらす環境資源としてアピールされていますね?

杉原 はい、そうです。名峰・大山は水の山。西日本最大級のブナの森が何十年もかけて雨水を地下に浸透させるのですが、ミネラルや栄養分をたっぷり含んだこの水が恵みの源です。川に流れ出た水は海藻が生い茂る豊かな漁場を育み、地表に湧出する水は健やかな作物を実らせます。「大山ハム」や「大山Gビール」などは全国で知られていますが、大山の恵みがもたらす海山の魅力的な特産品が他にもたくさんあるので、米子高島屋を中心に、地元の生産者と手を組んで、大山ブランドを全国に広げていく活動が始まったのです。“大山を食べて、知って、来ていただく”をコンセプトとして、2018年の大山開山1300年祭を機に、「大山ブランド会」を立ち上げました。

 大山ブランドを活性化するためには、生産者はもちろん、小売にもスポットを当てるべきと考え、“地産外消”を展開しました。日本橋、横浜、京都の高島屋で大山の特産品の物産催しを行い、お中元とお歳暮で、大山ブランド会の特集を企画しました。

田村 我々地元のものには、おいしい水や豊かな海の幸、山の幸も当たり前のことですから、大山の良さが分かりづらい。県民がその魅力に気づいたのは、県外からの評価がきっかけ。そういう意味でも、地域と全国のかけ橋として高島屋の発信力は要だと思っています。

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大山の伏流水が湧き出る「地蔵滝の泉」。「平成の名水百選」にも選ばれた大山の恵みの水です。

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「ワールド・ビア・アワード(WBA)」など、世界のビールコンテストで受賞の経歴をもつ大山Gビール。そのクオリティーは国内外で認められています。

ふるさと納税の取り組みを始める上で、何か特別な施策は考えましたか?

藤井 ふるさと納税のお礼品は、地場産品であることが条件ですが、同じ県内でも市町村によってお礼品の内容に偏りが出てしまいます。そこで、高島屋さんから新たな試みを提案いただき、行政も動き出しました。

 近隣の市町村をまとめ、地域共通のお礼品を作るという試みです。各市町村ごとではなく、地域全体がひとつのチームにまとまれば、共通のお礼品として扱えます。今年は鳥取県西部の米子市、境港市、大山町、伯耆町(ほうきちょう)、南部町、日吉津村、日野町、江府町、日南町の9つの市町村が連携して、共通のお礼品を作りました。官民一体の事業戦略です。

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「ビアホフ ガンバリウス」に併設されている醸造所。大山に涌く豊かな伏流水を使用した、大山Gビールがつくられています。

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未来対談の場所は、大山隠岐国立公園の麓にあるブルワリーレストラン「ビアホフ ガンバリウス」。大山Gビールやビールによく合うソーセージなどが楽しめます。

ブルワリーレストラン 「ビアホフ ガンバリウス」
住  所:鳥取県西伯郡伯耆町丸山1740-30
営業時間:平日11:00〜14:30、17:30〜22:00
土・日曜、祝日11:00〜22:00
※いずれも、冬季は21:00まで
定休日:月曜日
Tel:0859-39-8033

“地域の魅力体験”
でつながる新しい未来。

それぞれの立場で地域の魅力をどのように見いだし、有効活用していくべきだと思いますか?

 鳥取県は埋もれてしまっている、魅力的な地域資源もたくさんあるはず。その原石を見つけ出し、磨きをかけて光るものに育てあげていく。そういう意識を生産者の皆さんと共有することが先決です。

田村 大山に、一度来ていただければ、奥深い自然の恵みや人々の健やかな暮らしぶりなど、大山の魅力を感じてもらえる。麓には西日本最大級の別荘地があり、県外の方々が幾度と通った末、気に入って移住されるケースも多いんですよ。

杉原 米子は古くから商人のまちなので、発想力が豊かな起業家も多く、結束すると、歯車が勢い良く回り出します。毎月開催している「地ビールフェスタ in 米子」が盛況を博すようになったのも、高島屋の求心力に地域住民が呼応して、さらに、行政がその意気込みに賛同した結果の好例です。

藤井 高齢化、少子化が進む中、人口そのものを増やす施策も実施していますが、それだけでは地域の活性化は難しい。ふるさと納税のように、官民連携で実現できる地域プロモーションの仕組みをつくり、県外の方々にも、様々な形で鳥取県と関わってもらうことが重要です。

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名峰「大山」は鳥取県のシンボルのひとつとされています。

ふるさとの未来に向けて、どんなビジョンをお持ちですか?

杉原 大山ブランド会は、米子高島屋の提案で、一畑百貨店、米子しんまち天満屋、鳥取大丸が連携し、お中元やお歳暮で共同の取り組みがスタートしています。今後も地域のために様々な垣根を越え、地域の事業者が一丸となり、ふるさと納税等の仕組みを活用しながら、未来に向けて新たな地域資産を生み出していきたいと思っています。

 大山地域の豊かな自然を活用したサイクリングやグランピングなど、体験型へと舵をきるような取り組みも、さらなる展開が期待できそうです。

田村 財産である、この素晴らしい環境を活かした「ブルワリーツアー」を今後、企画しています。大山の水や空気を感じていただき、工場見学後、おいしい「大山Gビール」を試飲いただきます。

藤井 旅行者にも、車がないと不便なエリアなので、二次交通の整備も尽力すべき大きな課題です。

杉原 鳥取県はたくさんの可能性に溢れています。未来に向けて走り出しているこの躍動感を、多くの方に体感していただきたいですね。

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大山ブランド会
「大山ブランド会」は、大山Gビールのほかにも、松葉がに、鳥取和牛など魅力的な名産品が豊富にあります。

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