Special Interview

「ふるさと納税」の
これからのかたち。

数多くの地方創生プロジェクトに関わり、
尽力されてきた小山薫堂さん。
地域の経済と文化を
活性化させるために、「ふるさと納税」が
果たすべき
役割について伺いました。

「ふるさと納税」のお礼品には、
まちと人との出会いがあります。

偶然、手にしたものからまちを知り、
まちを好きになる。

「先日も、ちょっと素敵なお礼品に出会いました。奈良に住んでいる若い職人がスピーカーを手作りしていると人から聞いて、問い合わせたら、『ふるさと納税でもやっていますよ』と言われて。早速、寄附させていただいたんです」
ふるさと納税はよく利用するという小山さん。放送作家、脚本家として様々なメディアで活躍しながら、これまで数多くの地方創生プロジェクトに関わってきました。
「仕事で地方に行く時は、まず馴染みの店を探します。地元で長く愛されている老舗や名店の暖簾をくぐると、素敵な出会いがあるんです。その土地で採れた野菜がなぜ、おいしくなるのか。果物が実るまでの1年をどんな想いで過ごすのか、生産者から直接話を伺うことも。日本各地に店舗がある高島屋さんは、まちに根付き、お買物や様々なサービスを通して、人々の暮らしを支え、地域に愛されてきた存在ですよね。手間暇かけて丁寧に作られた、その土地のものを厳選しているから、高島屋さんに行けば何かいいものが見つかる。例えば、お弁当箱を買いに行って、たまたま目にした職人さんの手づくりの箸を買ってしまったり。ふるさと納税も、お礼品を介して、見知らぬまちの自然や文化を知り、作り手の暮らしを想像する。それだけで、その土地に興味を持ち好きになる。ふるさと納税には偶然から生まれる出会いがあります」

イメージ画像

地方創生は、まちの未来を築くこと。

小山さんの地方創生の旅が始まったのは、15年ほど前。最初に手がけたのは百年の歴史を持つ栃木県の「日光金谷ホテル」でした。
「金谷ホテルが日光に貢献できることは何だろう? と考えました。地方に喜びを創出するミッションとして引き受けたんです」
生まれ故郷は、熊本県。小山さんがプロデュースした『くまモン』のふるさとです。中学校を卒業するまで過ごした天草市は、岬の崖の上にマリア像が建つ小さな港町でした。
「あの頃は、こんな田舎は嫌だと思っていました。とはいえ、上京したものの、東京の暮らしは窮屈だなぁと思うようになって。大学の卒業制作で地方に目を向けてみたんです」
そのタイトルは『普通の生活』。帯広のソーセージ職人の日常を綴った、ドキュメンタリー作品です。
「地方を見つめるきっかけになったこの一作は僕の原点。パソコンの中にしまっていて、今でも時々見返しています」
それから約四半世紀。小山さんは京都の「下鴨茶寮」の経営を引き継ぎました。江戸時代から続く老舗のオーナーになる、大きな決断でした。
「京都は何度か祖母に連れられて行って、子供心に素敵なまちだなと思って。以来ずっと憧れの場所で。その京都を代表する料亭を任されたわけですから、責任重大です」
地方の仕事はやりがいがある、と小山さんはいいます。
「その土地の文化や歴史を継承するということは、時代に合わせながら、そこにいる人たちが築いてきたものも守っていくということ。大きく前へ進む時は、そこに暮らしてきた人たちには、不安も伴うでしょう。金谷ホテルや下鴨茶寮もそうですが、東京流を無理強いするのではなく、そこに暮らす人が幸せだと思うことを実現する。大事なことは受け継ぎながら、第三者の視点で埋もれている魅力を発掘し、新たな価値を生み出していく。地方創生は、未来を切り拓く術を見つけ出すことが使命です」

イメージ画像

Amakusa Singing Xmas
天草の人々にとってクリスマスは大切な日。熊本地震が起きた2016年から、復興を祈願して「Amakusa Singing Xmas」が開催されています。

イメージ画像

日光金谷ホテル
Hotel in Hotel N35
ライフスタイルのショールームをコンセプトに、小山さんがプロデュースした「日光金谷ホテル」のHotel in Hotel N35。

イメージ画像

下鴨茶寮
小山さんが主人となった「下鴨茶寮」。生産者を招いて様々な食のイベントを開催するなど、伝統を発信する新たな試みも始まっています。

まちづくりは、ファンづくり。
ふるさと納税でまちと人がつながっていく。

「ふるさと納税は、地域の人々が喜ぶ仕組みであってほしい。寄附をして、お礼品を受け取ったら終わりではなく、地域に人が行くきっかけになるとか。まちの魅力を抽出して、広く伝えるブランディングも不可欠。その土地を深く知らなければできないことです。高島屋のバイヤーさんたちも生産者の苦労を直接見聞きしているから、『これは名産品です』と自信を持って言えますよね」
『高島屋ふるさと納税ガイドブック』のページをめくりながら、各地のお礼品に興味津々の小山さん。
「おいしそうな干し柿ですね。作った人の顔が浮かびます。物語を感じるようなお礼品のガイドブックは、それまで名前さえも知らなかったまちにも、興味が沸きますよね。台風のニュースを見て、あのまちの柿の木は大丈夫かなぁと心配になったり。そんな風にみんなが少しずつ心を寄せていく。ふるさと納税のお礼品を介して、寄附する人と生産者の絆がつながって、そのまちのファンが増えていく。それが、これからのふるさと納税のあるべき理想のかたちです。高島屋さんには、人とまちの新たなつながりを生み出す、まちづくりの拠点になって欲しいですね」

イメージ画像

熊本県宇城市の三角西港
長崎の大浦天主堂やグラバー邸を手がけた小山さんの高祖父、小山秀氏が天草の石工を率いて石積みの埠頭を築いたそうです。

イメージ画像イメージ画像

小山薫堂
放送作家。京都造形芸術大学副学長。1964年熊本県生まれ。日本大学芸術学部放送学科在籍中に放送作家としての活動を開始。「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」など斬新なテレビ番組を数多く企画。映画「おくりびと」で第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞を獲得。執筆活動の他、地域・企業のプロジェクトアドバイザーなどを務める。「くまモン」の生みの親でもある。

ページトップへ